『Beauty うつくしいもの』 『ブエノスアイレス』

張震が出てる映画は新旧問わず大画面で見たい。片岡孝太郎さんの映画もやってるよ!というわけで、シネマート六本木へ。早起きしてお洗濯だの何だのやっつけて、ゴーゴゴー。

ギリッギリで間に合って、席に着いたとたんに映画『Beauty うつくしいもの』がスタート。

戦前戦中戦後を通して地方歌舞伎ではぐくまれた友情を追った作品。主な出演者は片岡孝太郎片岡愛之助麻生久美子

2年前の東京国際映画祭で上映された際、片岡孝太郎さんを間近で拝見する機会があったのです。上方歌舞伎のプリンスといった堂々たる風格のある方でした。

孝太郎さんはドラマ『白い巨塔』にも出ていたので、歌舞伎や時代劇ではない作品でも難なくこなしておられました。愛之助さんはなんとなくセリフまわしが古風で、「ん?」って思うところもあったのですが、そこは美しいビジュアルでカバー。お二人とも本当に美しかったです。

なんかもー全編通して泣けて泣けてしかたがない作品だったのですよ。別に悲しい場面でもなんでもないのに、あんまりキレイで泣けるんです。孝太郎さん扮する半次&愛之助さんが演じる雪夫の二人の最後の舞台はもう画面がかすんでしまって困りました。若い男女の道行きの場面です。

終盤、年老いた主人公が舞台の上で無様な姿を見せるところ。最初は野次をとばしていた観客たちが、彼のひたむきな舞と芸に対する一途さに心を打たれ、泣き出すシーンがあるのです。私の目にも涙が…。

上映が終わってもすぐに席を立つ人がいなかったのは、みんなぼろっぼろに泣いていたからと思われ。

この作品、片岡さんたちがすばらしいのは当たり前なのですけれど、子役の二人が妖しい美しさをかもし出しておりまして、うっとり見惚れてしまいました。機会があればぜひとも多くの人に見ていただきたい作品です。


■『Beauty うつくしいもの
http://www.beautyweb.jp/


ブエノスアイレス [DVD]

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30分のインターバルを置いて、今度は『ブエノスアイレス』。1997年の上映作品かあ…。これを最後に張震が兵役に行ってしまい、私はだいぶ長い間中華芸能から遠ざかる結果となったのでした。

実は映画館では見たことがなかった作品なのです。デヘ。レスリー・チャンが演じるウィンと、トニー・レオンが演じるファイのラブストーリーなんですけど、最初から最後まで彼らの関係は痛々しい。ふたりが一緒にいてハッピーなときでも痛々しい。

そして魔性の男、レスリー!もうレスリーの小悪魔っぷりが炸裂。『覇王別姫』のときとは別の意味で小悪魔。だって、どこをどう考えてもウィンのほうが悪いのに、ファイが超悪者に見えるんですよ?ウィンがファイに怒鳴られて泣き出すシーンでは、思わず「泣かないでぇえええ」とハグして慰めてあげたくなるほどです。本気で魔性。

この映画における「小悪魔其の2」がチャンに扮する張震です。まぶしいばかりの若さと無邪気さで傷心のファイをとりこにしてしまう小悪魔ちゃんです。あまりに無垢な彼がまぶしくて、ファイは目を細めて彼を見つめるのですが、私も張震が出てくるたびに目を細めてしまいました…。まぶちいわ。若くてかわいくて。まだ今のような精悍な顔つきはしてなくて、どこまでも「かわいい」。まだ少年のまま体だけ大きくなっちゃったような。そして小悪魔は去っていきます。ファイの心の内を何も知らずに。

ファイの人生を大きく変え、ハッピーな将来を見出すきっかけをつくったチャン。。一度はチャンを失ったファイですが、望めばきっと会えると確信した瞬間、思わず「あはー♪」って笑いがこぼれて、電車に乗っていくラストシーンが素敵です。

レッドクリフ』の孫権周瑜は、『ブエノスアイレス』のチャン&ファイなのですよね。張震とトニーさんはこのとき以来いろんな作品で共演を果たしてますが、『ブエノスアイレス』は特別な存在ですね。少なくとも私にとっては。


覇王別姫 〜さらばわが愛〜』も上映中だったので本当は見たかったんだけど、さすがに『ブエノスアイレス』の後にあのヘビーな長編を見るのはつらかったのでやめておきました。特に文革のあたりがキツイ。『覇王別姫 〜さらばわが愛〜』ならまた大画面で見られる機会はあるだろうし。今日のところは予告編を大画面で見られただけでヨシとしました。

最後にパンフレットを見ながら思ったこと。トニーさん若ぇ〜〜!!!


■シネマート六本木
http://www.cinemart.co.jp/theater/roppongi/index.html