懐かしい友からの便り

あの頃の私たちは19歳で、若くて世間知らずで、頑張れば夢はきっと叶えられると信じていた。私はライターに、彼はダンサーになりたいと、それぞれ親の反対を無理やり押し切って同時期に渡米したのだった。

あれからもう17年。あの頃の私たちの年齢とほぼ同じだけの年月が過ぎて、私は昨年、一度は諦めたライターへの夢をなんとか繋いだ。

私が帰国したのは27歳のとき。ちょうど就職氷河期の真っ只中で、新卒でさえ就職できない頃だった。派遣で口に糊して数年。年齢的にも就職は無理だと思い、あきらめてやさぐれていた私が、一念発起して最後にもう一度だけ頑張ってみよう、ライターを目指してみようと思ったのは、私よりずっと若いうちに夢を叶え、舞台に立つ彼がいたから。いつか「私も夢を叶えたよ」と言えるまでは、彼の舞台は見に行けないと思っていたから。そして今年、ようやく心の準備ができた。

今日、もう少ししたら舞台に立つというその時間に、懐かしい友からメールが届いた。来てくれて嬉しかったと。昔と少しも変わらない生真面目さが伝わってくるような言葉のひとつひとつを噛みしめるように読んだ。ケータイの画面がぼやけた。

17年をひと息に飛び越えて、再び交わった旧友とのつながり。これからも大切に大切にしていこうと思う。またいつか会いたいね。