ヴェニスの商人

ヴェニスの商人

無理やり起きて家事を済ませ、PCに向かって十月大歌舞伎のチケット争奪戦に参加。だって。ほら!10月の歌舞伎座の演目ったら、こんなに素敵!
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2007/10/post_17.html

仁左衛門様&玉さまですよ?歌舞伎界きってのビジュアル系のカップリング。見ろと言わんばかりのキャスティングではありませんか。そんなわけで、数ヶ月前から「一緒にきもの着て歌舞伎見に行こうよ!」と約束していた友人たちにこの演目を打診したところ、「い・く♪」とのお返事。そりゃそうでしょうとも(笑)そして迎えたチケット発売日。ウッシャー!2等席1階花道隣取ったぁああ!平日ですが夏休みも残ってることだし、休み取ります。ええ、取りますとも。サクッとチケットの件を友人たちにメールしてお出かけ。

天王洲アイルで姉と合流。一緒に『ヴェニスの商人』を見に銀河劇場へ。昨年の『ライフ・イン・シアター』以来の藤原竜也君&市村正親舞台。しかも席はロイヤルボックス(笑)でも、席のことは当日姉に聞くまで知らなかったんですよねー。そしてワタクシたち、『天保12年のシェイクスピア』以来、本気で竜也君の舞台を全て見ている記録達成…。「今日も竜也君脱ぐかなあー♪」って、ウッキウキしながら劇場に入ったバカ姉妹2人。舞台脇にあるロイヤルボックスって普通は見にくいもんですが、ここの劇場のは良く見えた。首も曲げなくて済んだし!うーん、いい席だ。

ヴェニスの商人』は、もちろんあのシェイクスピアの作品。ユダヤ教徒vs.キリスト教徒の物語ですな。「我こそが正義」と信じ、異教徒なら足蹴にしても吊るし首にしても構わないというキリスト教徒の究極のエゴイズムの物語でもありますな!娘はキリスト教徒に奪われる、その娘に金は奪われる、ユダヤ人だからといじめられ、唾を吐きかけられ、挙句の果てには財産を失い、キリスト教徒に改宗させられるというシャイロック。かわいそすぎる!そんなシャイロックを演じたのは市村正親。物語の最初には強気だったシャイロックが、残酷な運命に翻弄され、石もて追われ、打ち据えられる様子は、胸がしめつけられるようでした。「気分が悪いんです…。退出させてください」というシャイロックの言葉の重さは、彼を嘲笑し、愚弄したキリスト教徒たちの罪の重さ。このなんとも言えない救われなさを、市村正親が哀愁たっぷりに演じていました。もー、なんでこの人こんなにすごいかなあ。彼が舞台に出ていると、そこに目が吸い寄せられてしまう。どこにいてもね。セリフの一つ一つがスッと胸の中に入ってくる。どんなに騒がしい場面でもね。今さらながら市村正親という役者の凄さを実感しました。

で。竜也君。ワタクシも姉も、最初の仮面舞踏会シーンから、「ああっ、顔は見えなくてもあれが竜也君だってわかるのよぅっ…(目がハート)」と悶絶してました。バンビのように軽やかなステップ。もー、さすが竜也君ですよー♪

というと、脱ぎこそしませんでしたが、おいしいとこ取り!アフロのヅラ、ヨレヨレのおじい、ステキな王子様キャラと、まるでコスプレ大会のごとく3役をこなしたな竜也くんにウットリさせられたのは私だけではないでしょう。特に竜也くん@おじい。ゴロン、と後ろに転がって、そのままの体勢で「えっこらしょ」って助け起こされる場面には爆笑しつつラブ。軽薄かつ計略的、でも憎めない魔性の男バサーニオ。何をしても「愛いやつめ!」と思わせてしまう、それが竜也君の演じたバサーニオでした。男も女も彼に骨抜きにされちゃうの。影の主役ですな。だって、彼の行動がいろんな騒動を巻き起こすんだもんね。重い物語の中で、ちょっとほっと一息をつかせてくれるバサーニオでした。

で、注目の寺島しのぶ@ポーシャ。初めて見たけど、彼女、いいわ〜♪なんかもっとおどろおどろしいフェロモン女優かと思っていたのに、案外コミカルな役が似合ってました。裁判のシーンは、まるで一休さんを見ているようでした。シャイロックの心情を汲み取りつつ、公正な判決を下すのかと思いきや、そこんとこはやはり彼女もキリスト教徒で、シャイロックを絶望のどん底に突き落とすのです。かわいい顔して怖い。この女一休め!寺島しのぶ、今度は別の役で見てみたいと思いました。

この舞台、俳優がとても豪華で、それだけで楽しそうだったのですが、期待以上の素晴らしい出来でした。もしDVDが出るなら欲しいくらい!

さーて、次の竜也君の舞台は、と…。『身毒丸』かぁ♪白石加代子さんかあ♪見たいなあ。でも埼玉か…。ちょっと遠いんだな。でも多分見に行っちゃうんだな。その次は『かもめ』ね♪さーて、お姉ちゃん、がんばってチケット取ってね。よろしく。