時代の流れ

拝啓、父上様

神楽坂は本当に変わりつつあるわけで。現実に高層マンション計画が進んでおり、老舗の喫茶店なども次々に閉店しているわけで。私のような者が入れないような、「坂下」のようなお店もそうなっているであろうことは察しがつくわけで。

縁あって、神楽坂に引越して半年。たった半年のうちにどれほど町並みが変わったことか。両手では数え切れないくらいのお店が「都市再開発」の名前のもとに閉店。東京理科大のキャンパスになったり高層マンションになったりするようです。神楽坂の風景がどんどん変わっています。このドラマは、古き良き神楽坂の最後の姿を映像という媒体で記録してくれているのかもしれません。ロケ進行中の現在も、毎日神楽坂のどこかで閉店する店があり、工事を始める場所があり、スタート当初とは違う風景になっています。寂しい限りですが、「時代の流れ」という一言で片付けられてしまうんでしょうね。そして、納得いかないことにも納得しようとしているんでしょうね。

拝啓、父上様

日本という国は、古い町並みや風景、建物を大切にする文化を持っていません。有楽町の三信ビルも、神楽坂の町並みも、「時代の流れ」の一言で壊されつつあります。「美しい日本」なんて、そんなものは幻想に過ぎないわけで。

と、柄にもなくこんなことを書いてしまうほど、今回の『拝啓、父上様。』は見ているのが辛くなってしまったわけで。「つつしみ」という概念を失った人間がどれほど醜いものか、またどれほどつけあがっている人間が最近増えていることか、ということも描かれていましたが、こういった風潮も全て「時代の流れ」で済まされてしまうのはどうなのかとテレビの前で憤慨している私がいるわけで。

時夫がしたことは、板前としては正しくないことだったけれど、人間としては正しかったと思う。時夫、辞めちゃダメだよ!!絶対に辞めちゃダメだよ!

今回はいろいろと考えさせられるようなシーンが多く、辛かったです。