『ディパーテッド』、クール!

先週、会社の先輩にチケットをいただいたので、のっぴぃと『ディパーテッド』を見てきました。これでまた、私の「レオの映画は金を出して見たことがない記録」が更新されました。なぜかいつも誰かのおごりだったりタダ券もらったりなのです。ごめんね、レオ…。

前知識をほとんど持たないまま見に行ったのですが、これは…イイ!いかにもマーティン・スコセッシらしい、ゴツゴツした男臭い映画でした。見終わった瞬間、のっぴぃに「『スカー・フェイス』を思い出しちゃった」と言ったくらい、血と暴力と麻薬と裏切りの世界が描かれていたのでした。

まず、マット・デイモンの最低っぷりがまず素晴らしい。私、マット・デイモンの顔が好きじゃなくて、ほとんど彼の作品を見たことがなかったのですが、今回の役はいい!本当に最低!狡猾で自分本位、いわゆる「smart ass」とか「prick」ってやつ。あまりに徹底した最低っぷりにちょっと胸がきゅーんと(笑)

で、レオナルド・ディカプリオアカデミー賞にノミネート(別作品で)されただけあって心動かされる演技でした。ああっ、もう自分のボキャ貧が恨めしい!彼がどれほどすごかったか、言いたいのにうまく言えない。狂気の渦中に突然放り込まれた彼の繊細な魂が、無残に引き裂かれていく様子が痛々しくて、怒りやら悲しみやら、苦しみやら、なにもかもが手に取るようにわかるんですよ。あー…アタシ、レオを見直したわぁ…。今年のオスカーが彼にもたらされますように。

で、ジャック・ニコルソン。臭ってきそうなくらい汚い。とくに腹のたるみ具合には吐き気すら覚えるほどでした。つかネズミ食いましたねアナタ!?オェー!存在感だけでもスゴイのに、そこからさらに演技をされちゃうと、ちょっと濃ゆすぎて消化できないくらいの気持ち悪さでした。

で。マーク・ウォルバーグ。ウッ…!おいしいトコ持ってったーっ!性格超悪いんだけど、実はあの中に登場する誰よりもまともでいい奴でした。ご自慢のハダカは今回全く登場せず。マーキー・マークを名乗っていた頃からは想像がつかない成長を遂げたのでは。こんなにいい役者に育つなんて思いもしなかったです。すごい脱皮だと思います。マーキー・マークとワイルド・バンチを覚えている人がいるかどうか既に怪しいですね。そういえば、彼の出世作となった『ブギー・ナイツ』で、マーク・ウォルバーグ演じるダーク・ディグラーに懸想するホモセクシャルのスコッティーが昨年のアカデミー賞主演男優賞を獲ったフィリップ・シーモア・ホフマンだった…ということをご存知ですか。『ブギー・ナイツ』もいい映画なので未見の方はぜひ。

久しぶりに見るアレック・ボールドウィンはいい具合に年とって脂ぎったおっちゃんになりましたね。これ以上ないオバカさんっぷりがリアルでした。ああいう警官、いそう。アレックはキムと泥沼離婚してからスカーンと突き抜けて、いい役がつくようになったと思います。

マーティン・シーンは一定の時期を超えてから全然老けないですね。不思議。昔はけっこうエキセントリックな感じの役者だったように思いますが、今は人徳者といった感じの役が多いでしょうか。彼、本当はヒスパニックなのに、この映画ではアイリッシュにしか見えなかったです。いぶし銀の演技、堪能しました。毒気のない存在感を持つ彼のような役者、あんまり他にいないような気がします。

マーティン・スコセッシは今までアイリッシュアメリカ人の映画を撮ったことがなかったと思うのですが、どうでしょう。イタリア系のオシャレでスマート、かつソフィスティケートされたマフィアの世界とは一味もふた味も違う泥臭いアイリッシュの世界。ちょっと2時間半は長かったと思うけど、思うまま、存分に彼の意図した非情な世界が描かれていたと思います。これ、バイオレンス映画に耐えられる人には是非おすすめしたい映画でした。

これって『インファナル・アフェア』がベースになってるらしいですね。知らなかったよー。それすら知らずに見に行ったんだよー。追っている人間がいつのまにやら追われる立場になったり、まさかこの人がっ!と思うような人物がとんでもないヤツだったり、ラスト30分は最後の最後まで本気で手に汗握りました。物語の冒頭は時系列やそれぞれのキャラクターの立場がわからなくて混乱しましたが、すぐにわかるようになりました。

バイオレンス映画って久しぶりに見たけど、たまにはいいですね。そうそう、音楽の選曲もすごく良かったんですよ。ほぼテーマソングとなっていたのはDropkick Murphys の『 I'm Shipping Up To Boston 』でした。アイリッシュ魂爆発。

というわけで、良かったですよー。これから見に行こうと思っている人はぜひ!