マリー・アントワネット

マリー・アントワネット

最近、見たいなと思った新作映画はなるべく初日に観るようにしています。そうしないと「まあ、来週観ればいいし」ってことになって結局見ないまま終わってしまうパターンがここ数年続いていたので。

で。キルスティン・ダンストの最新作『マリー・アントワネット』を見てきました。意外に思われるかもしれませんが、私は彼女のファンなのです。か・わ・い・い。すごく良かった!でも、感想が賛否両論まっぷたつなのは火を見るよりも明らかでした。

私がこの映画をいいなと思ったのは、以下の点。
キルスティン・ダンストがチャーミングなのなんのって。綿菓子のようにかわいい!この映画の彼女をカワイイと思わないなら、どこか間違ってる。ほんとにお肌もきれいできれいで、たまりません。触りたいくらいです。

・音楽のセンスがいい。舞踏会でNew OrderAphex TwinBow Wow Wowだなんて素敵すぎる。ソフィア・コッポラらしい。80年代のBrit Popで育った私にはたまらんかったです。

・「史実なんかクソ喰らえ」的作風が潔い。とにかくアントワネットがいかにチャーミングな女性だったか、そこに焦点が当たってぶれることがなかった。

・ポリニャック夫人に拍手。きっと実際の彼女もあんなんだったんだろうなと思う。どこかで見た顔だと思ったら、『スターウォーズエピソード2』のドーメを演じたローズ・バーンだった。

・貴族の自堕落かつ下世話な日常がイヤというほど描かれていて、もう見ているだけで苦しい。どれほどアントワネットが退屈していたか、ストレスをためこんでいたかがよくわかりました。

・フェルゼンと浮気しても、アントワネットはやっぱりルイを愛していたと思うんですよ。ルイは気のきかないボーっとした男かもしれないけれど、彼は彼なりにアントワネットを大切に守っていたんですよね。ベルサイユから出ていく日のルイの姿を見れば一目瞭然。普段、あんなに役にたたなさげなルイが、あの土壇場でああいう行動に出るなんて思いもせず、感動しました。彼はハンサムじゃないし、政治の才覚もないし、フェルゼンのような情熱もない。でも、彼は羽毛のような優しさでアントワネットを包んでいたのだと思います。だからこそアントワネットもルイを見捨てるようなことはしなかったんでしょう。もし彼女が夫の愛に気づかなければ、とっくの昔にベルサイユを捨てて遠くに逃げていたはず。

全体的にはセリフがものすごく少ない「ビジュアル系映画」と呼んでもいいくらいの映画だったのですが、私はすごく良かったと思いました。色使いといい、衣装といい、スイーツの類といい、女の子の大好きなものがたくさん出てくるんだもの。ソフィア・コッポラならではの、イメージ画像的演出はこの映画でも健在でした。(『ロスト・イン・トランスレーション』に通じる演出)。DVDが出たら欲しいなあと思ったくらい。衣装もかわいいしね!あと犬。特にパグのモップス君。

この作品中で批判されるであろうことは次の点。
・時代と音楽がマッチしていない。
・セリフがアメリカ英語である。(幼児のマリー・テレーズのみフランス語使用)
・デュ・バリー夫人の出番が少ない。
・フェルゼンが出てくる必然性が感じられない。
・フェルゼンの出番、これだけ!?しかも、これで終わり!?
・全体的に下世話であり、品がない。
時代考証がなっていない。
・貴族の自堕落な日常を描いたシーンが延々と繰り返されるのは時間の無駄
・こんなエンディングってアリなのか!?

まあ、わからないでもないですが、こんなのはこの映画のキモではないので、どうでもいいと思います。これらを差し引いてもキュートな映画だったと思いますよ。この作品を気に入るか気に入らないかは、出来というよりも単純に好みの問題かなあ。

えーと、撮影中のスナップを発見したので画像をかっぱらってきました。この映画の性格が非常に良く表れている画像だと思いますよ。要は「下品」なのです。でもね。貴族社会なんて、高尚なツラをして下品極まりなかったのだから、この映画は正直に作られていると思います。楽しみました!見てよかった。

池田理代子先生の『ベルサイユのばら』を読んでからこの映画を見ると、池田先生の時代考証のすごさがよくわかります。前知識として、『ベルばら』を読んでおくと、より一層この映画が楽しめるはずです。『マリー・アントワネット』のクライマックス、バスティーユ陥落の報せがベルサイユに届くシーンでは息絶えるオスカルの姿が脳裏に浮かびました。いや、実在しないから、オスカル。

というわけで、おすすめしたいようなしてはいけないような作品でした。でも私は本当に楽しんだので、あまり史実にこだわらない人におすすめしたいです。

で、キルスティンが超キュートだった『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のDVDをレンタルして帰宅。わかりやすいなあ、私…。このとき彼女は13歳。この頃からかわいかった。ブラピとのキスシーンがあって、当時アメリカではブラピの女性ファンがこぞって悔しがっていたことが懐かしく思い出されます。「なによ!ガキのくせに!きぃーっ!」って。あー…。そんな時代もあったわね、としみじみ昔を思い出しました。