JFK

JFK 特別編集版 [DVD]かなり長い間、見よう見ようと思いつつ、なんとなく先延ばしにしていた作品『JFK』をついに見ました。

見ごたえありすぎ!John F.Kennedy暗殺をめぐる国家陰謀の謎に迫る内容。物語の後半、法廷にて、ケビン・コスナー扮するギャリソン検事が、ケネディの暗殺された瞬間を収めたサブルーダーフィルムを執拗に繰り返すカットが圧巻。コスナーにはこの頃、まだまだいい役がついてたな〜。髪の毛もあった。法廷でのシーン、コスナーのたたみかけるような演説が素晴らしい。

オズワルド役のゲイリー・オールドマン。さすがだ…。何も言うことない。なんて自在な役者なんだろう。アメリカ英語も達者だけど、この作品ではロシアなまりの英語をしゃべってました。いつもに増して「演じている」様子がみじんも感じられない。でもゲイリーの映画で一番好きなのは『ブラム・ストーカーのドラキュラ』(笑)

脇を固める役者も軒並み素晴らしい。の中で、特に印象に残ったのは、ギャリソンに軍部の内情を暴露するXを演じたドナルド・サザーランド。(キーファー・サザーランドのオヤジ。)Xによって語られる情報は、年号と日付を追いかけるのが精一杯なほど。それを15分ほどの間にガーッと雪崩のように語るサザーランドのすばらしさ。91年当時はまだまだ風貌に衰えがなく、とてもあんなにでかい息子がいるようには思えないほど素敵。(あの頃のキーファーはゴシップ覧にしか登場しない悪童だった遠い記憶。)

出番は少ないながらも強烈な印象を残すのはジャック・レモンウォルター・マッソーのふたり。酔いどれのばくち屋と、地方政治家役だった。にごったような目をして、レモンが語るキューバ人たちの陰謀。ギャリソンに圧倒的な敬意を表しつつ、「ま、やばいことにならないようにしてよ」的立場を貫くマッソー。Odd CoupleとGranpyシリーズでは人のいいおじいちゃんコンビだったのに、こんな役もやってたのね。

ギャッ!!と思ったのはケビン・ベーコンのベルサイユな女装…。ドン引き(笑)ジョー・ペシと、トミー・リー・ジョーンズの眉毛とヅラのメイクにもかなり引いたけれど、ケビンには負ける。

本題に戻ると、結局「誰がJFKを殺したか」は語られることのないまま終わるのですが、大変興味深い映画でした。ウォーレン報告書は2039年に封印を解かれます。それまであと32年。それまでちゃんと生きて、誰がJFKを殺したかを知りたい。まあ、そのときになってもきっと肝心なところは明かされないと思うけれど。

それにしても、映画全編に流れていた緊張感の心地よかったこと。当時のニュース画像を交えた映像のキレが、あたかもドキュメンタリー映画であるかのように思われるほどにすばらしい。この作品は、アカデミー編集賞を受賞したそうですね。なるほど、ですよ。文句のつけようがない。

いろいろと問題も多いオリバー・ストーンですが、この作品は彼の監督した作品の中でも最高の部類ではないかと。『プラトーン』も良かったですが。

ひとつ気になるのは、この作品で描かれているJFKの人物像。この映画に出てくるJFKは、あくまでもオリバー・ストーンの視点から描かれたJFKオリバー・ストーンはかなりの「JFKラブ」人間なので、彼がいかに偉大だったかということしか描かれてない。当然視点(作り手)が変われば違う映画になったでしょう。まあ、アメリカ人は8割方JFKが大好きだと思うので、こういう描かれ方であっても問題はないのですが。こういう点も含めてウォーレンレポートの開示に興味があります。

ひとつ思うのは、こういう映画が作られ、コマーシャル的にも成功するというアメリカの懐の深さですかね。自国の恥をあえてさらすという意味で。いずれにせよ、題材・役者・映像のどれをとっても見ごたえのある映画でした。

自分メモ:テレビの司会はTVシリーズ『Night Court』のJohn Larroquette。このシーンはディレクターズカット版にだけしか登場しないらしい。ほぉ〜。