NODA MAP 『ロープ』

土曜日に習ったお太鼓、忘れないうちにレッスンレッスン。というわけで、『ロープ』の観劇は着物+羽織で出かけることに。でもっ!25分で着付けができたの!自分的にはスゴイと思いました…。まだまだ修行が必要ですな。お正月に実家に帰ったとき、もう1〜2本名古屋帯をもらってこようと画策中。

姉との待ち合わせに大幅に遅れつつ(申し訳ない…)、シアターコクーンに到着。NODA MAPの観劇は2度目です。思えば今年の観劇は竜也君に始まり竜也君に終わりました。竜也君が出た舞台は全部見た。しかも全部お姉ちゃんと(笑)。きっと来年も竜也君三昧。でも、そろそろ筧ちゃんの舞台復帰を願いたいところです。

さて、NODA MAP最新作『ロープ』。プロレスのロープの中では何が起きても「やらせ」で済んでしまう。じゃあ、そこで殺人が起きたら?戦争が起きたら?

最初はコメディに始まり、デスノートのネタも盛り込まれたり、蜷川版『天保12年のシェイクスピア』のセリフが引用されたり、気楽に笑っていられるのだけれど、いつの間にか舞台の上の世界観がズレてくる。リングの下に住みついたタマシイ(宮沢りえ)の周りで、だんだん常軌を逸していく登場人物たち。プロレスは八百長じゃない、ガチンコだと信じるノブナガ(藤原竜也)。ひきこもりのノブナガを盗撮して視聴率につなげようとする報道屋(渡辺えり子野田秀樹)。プロレスの八百長はやらせに、やらせはテレビの視聴率獲得のために、視聴率獲得のためには殺しも戦争も放送する。「もうやめてえなあ!」とノブナガが叫ぶ。誰もがそう思っているのに、狂った世界の暴走は誰にも止められない。そして舞台はベトナム戦争のまっただ中へ。アメリカ兵による凄惨な民間人殺しが始まる。タマシイによって延々と語られる虐殺のシーンは酸鼻の極みだ。戦場から逃げ出したアメリカ兵は、瀕死の女性に出会う。そこでに託されたのがタマシイ。彼女は無垢な心の象徴であり、人間がいずれ還っていくいくべき場所の象徴でもある。我に返ったノブナガは、殺戮で荒れ狂う人間の世界に、タマシイが現れるようにとつぶやいて去っていく。まるで祈りのようなラストシーン。

この舞台では、笑いが狂気に変わっていくので、後になってよく考えてみると「あれ?あの場面で笑ってたアタシっておかしいのかな…?あの場面ってそもそも笑うトコ?」と思ってしまった。笑うのと狂うのって、違う場所にあるようで同じ線上にあるんだろうなあ。

70年代に青春を過ごした劇作家というのは、やはりどこかにベトナム戦争全共闘時代の影響をひきずっているようですね。書くと長くなりますが、この作品はかなりの反戦作品ではないかと思います。笑いと狂気と暴力をごちゃまぜにしてかき回した修羅。そこ立つ人間が望むのは平和で無垢な世界しかない。ですよね?

ものすごく見応えのある作品でした。見て良かった!