『壊尻山』を観てみる。

友人らと『壊尻山』…、もとい、『ブロークバック・マウンテン』を観にいきました。初日だし、もっと混んでるかなと思いきや、そうでもなかったです。やっぱり内容が内容だから?

アン・リーがオスカーを受賞したので観にいったのですが、まあ、想像した通りに事(物語)が運ばれていくのが面白かったです。ここでキスしちゃうんだろうな、とか。多分アタシ、この映画の見方を間違えてます。以下感想。ネタばれ含むので隠します。

ジャック(ジェイク・ギレンホール)は最初からイニス(ヒース・レジャー)を狙う気まんまん。「オマエがスキだ」ビームが出まくってました。既に笑いが止まらないわたくし。冒頭から、いかに笑いを抑えるかが、この映画を観るのに最重要課題であると認識しました。

ジャックはいわゆる「誘い受け」っていうやつですね!?自ら誘っておきながら、主導権は相手に渡すというアレですね!?セックスの場面は、かなりグラフィックなので、同性愛モノを初めて観る人にはキッツい映画かもしれません。キスのたびにヒースの鼻息が荒すぎてドン引いたワタクシ。そんなに鼻息荒くなくても…。

それから、アレですね。イニスはいわゆる「ツンデレ」ですね!?外ではツンとすましているくせに、二人きりになるとデレデレもいいところで、あまりのギャップの差にこっちがびっくりですよ!すごく男くさくあろうとする男だし、セックス的にも主導権を持っている側の男なのに、激しく女々しい。嬉しいのに、顔に出すのが苦手で、ときどき口元がピクピクモゾモゾしちゃうあたりが、ジャックのツボにはまったのかもしれません。

いかにもアン・リーが好きそうな、美しく雄大なワイオミングの大自然
の中に立つテント。(男性の股間が盛り上がることを英語で「テントを張る」と言う。)
の中にハダカの男。(しかも激しくむっさい)
が二人。

いかにもアン・リー的美しいワイオミングの大自然
の中でじゃれあうむっさいカウボーイ二人。
を双眼鏡で見つける雇い主。

亡くなったジャックのシャツの中に、かつてイニスが山に忘れてきた思っていたシャツが…!思わずそれを抱きしめてしまうイニス。(そもそも最初の別れの場面で、吐くよーな勢いで泣いていた、女より女々しいイニスにドン引いたワタクシ。)

ラストシーンの誤訳に怒り心頭。「I swear」が何故「永遠に一緒だよ」になるのか!!説明をしてもらおうか!ぜんぜん意味違う!説明すると長くなるので怒りだけにしとく。結果的には「一緒にいたいと言ってたオマエの願いをかなえてやればよかったな」っていうニュアンスですよあれは。まあ、字幕の都合上8文字しか使えないのはわかってるけど、それにしてもなあ。(字幕は1秒4文字まで。I swearは2秒、上限は8文字。)

エンドロールに流れてきた歌の歌詞があまりにそのまんまで、さらに気持ちが萎えた…。なんて陳腐な…。その次に流れてきたRufus Wainwright(彼自身もゲイだ)の『The Maker Makes』には、純粋に音楽として感動しました。最初、RadioheadのThom Yorkが歌ってるのかな、って思ったです。この曲好きだなあ。この曲とテーマ曲だけ欲しい。

この映画、大変申し訳なく思うのですが、私はところどころ笑いをこらえるのに必死でした。あまりにそっちの方面に気を取られすぎていたせいか、肝心の景色だの、カメラワークだの、そのあたりに集中できなかったのが悔しいです。でもワイオミングは美しいですね、本当。ある意味面白い映画だったとは思いますが。アタシのゲイ友達とは全然違うゲイの人々のあり方というのが興味深かったです。あ、そうそう!双眼鏡で二人を見つける雇い主がね、ランディ・クエイドだったの!きゃー!久しぶりに見たあ♪チェビー・チェイスのナショナル・ランプーンシリーズの彼が大好きです。特にクリスマス・バケーション…。

ブロークバック・マウンテン』って名前、日本語にすると『折れた(壊れた)背中(もしくは臀部)の山』なので、『壊尻山』にすると、なんとなく意味深ではないですか?たしかに壊れそうだ、尻が。

ここまで書いておいてお風呂に入ったのですが、そこでつらつら考えました。ああ、そうか。時代背景が違うんだ。60年代のゲイの物語だから、余計にアタシの友達とは違うんだな。うん、ここは重要なポイントだわ。すっかり失念してた。

映画の後、友人らとスペインバルで飲んで飲んで食って食って語りました。楽しかったです。ウフン♪また遊ぼうね!