にょにんは怖い。

百器徒然袋 風 (講談社ノベルス)■『探偵小説 百器徒然袋』京極夏彦
土曜日の夕方に読み終わり、そのまま昼寝に突入、ブランを見逃したのは全てこの小説のせいです。責めるなら榎木津を責めてください!!

薔薇十字探偵団の探偵、元子爵で財閥のご令息にて次男坊、榎木津礼二郎が主人公…のはずなんだけど、主人公なのか?確かに物語は榎木津を中心に動いているんだけど、肝心の榎木津が登場する場面は少ない。相変わらず榎木津はアホである。傍若無人、無礼千万、周囲にいたら関係のない人間まで巻き添えをくうこと間違いなし。

私はシリーズを通して木場修太郎のファン。刑事の木場修と、探偵の榎木津。幼なじみの二人の腐れ縁的会話がたまらなく好きなんだけど、今回は最後の20ページくらいでようやくその楽しみに行き当たりました。そもそも木場修が出てこないと聞いていたので、木場修が登場した時にはうれしかったなー、もー♪この二人、互いに「バーカ!」「バーカ!」と言い合うような付き合いなのだけれども、木場修が捨て台詞を吐いて終わるのが常套。今回は「礼二郎、てめぇ、覚えてろよ!」でした。判を押したような捨て台詞。この作品の中で榎木津を「あの馬鹿」と呼ぶ人々は多いけれど、「礼二郎」と呼べるのは木場修だけ。ほんとクサレ縁。

この作品は、ちょっと消化不足のような気がする。まあ、本家筋の京極堂シリーズじゃないから、それほど本格的なミステリーとして書いたわけじゃないのだろうけど。榎木津のファンにはたまらない一冊なのかもしれない。でもアタシは木場修のファンなんで。ええ、木場修木場修をよろしく〜。ねえ京極先生。今度は「刑事小説」書いてください。

桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)■『桜の森の満開の下坂口安吾
あれは確か木原敏江の漫画だった。桜の森には鬼が棲む…という内容の作品があった。『夢の碑』シリーズの一作品なんだけど、タイトルはなんだったっけ。木原敏江独特の耽美なタッチで描かれた古典和風ホラーだったの。ああ〜なんだったっけな〜〜〜〜!!って、思い出したYO!『青頭巾』だ!すっきりした…。

その作品の中でね、女二人が同じ男を争って、男を殺しちゃうんだわ。で、その遺体すら渡したくないっていうんで、桜が満開の森の中、花びらが舞い落ちる中で男を食っちゃうのよ!喰らうのよ!桜、桜でどこもかしこも桜の木。地面は桜の花びらで埋め尽くされているところで女が男を喰う。すげー怖いでしょ!?この作品の巻末で、木原敏江が「吉野山を桜の盛りの時期に訪れるのは怖い」って言っていたんだけど、先述の『青頭巾』と坂口安吾の『桜の森の満開の下』を読むと、すんごい怖い。確かに一面桜、桜、桜だらけでもの音ひとつしない場所にぽつんと独りきりになったらむちゃくちゃ怖いと思う。あまりに綺麗で何か出そうな気がする。

『青頭巾』にしろ『桜の森の満開の下』にしろ、女は怖い(笑)女の私が言うんだから多分怖いんだと思う。『青頭巾』の女の怖さは先述の通りだけど、『桜の森の満開の下』にもこんなくだりが出てくる。「お前は私の亭主を殺したくせに、自分の女房は殺せないというのかえ。それでもお前は私を女房にするつもりかえ」って迫るんだよー!こ、こえー!

あくまでも語り口調が『日本昔ばなし』風に「〜なのでした。」と、他人事のようであるところも怖さを増長させていた。こえー!短編なので、興味のある方はぜひ。

■正月映画?
ジョニー・デップの新作『ネバーランド』が良いらしい。観に行こうかなー。おすぎは嫌いではないけど、1年のうち何回「今年一番感動しました!」って言ってるのか数えてみたい衝動に駆られる今日このごろ。ジョニーに関しては、またティム・バートンと組んでくれないかなあって思う。この二人の組み合わせって最高だと思うんだけど。

■本日の「僕秩。」
http://www.dfnt.net/t/photo/0412.shtml#041227
アタシが子供だった頃、近所にあったパチンコ屋さんの名前が「パチンコスター」でした。夕方になるとランランと輝く「パチンコスター」の文字。なぜかパチンコの「パ」の文字の部分のみ、電飾が切れていたので、小学校低学年の頃、ずいぶんと長いあいだ、そのパチンコ屋さんの名前を「(パ)チンコスター」だとカンチガイしていました…。ウチ、家族が誰もパチンコやらなかったしさ…。