市川雷蔵祭 終了報告

終わっちゃったよ(涙)

あいかわらず今日も体調わりかったの。でも昨日無理した甲斐があって?昼まで寝る時間があったから寝たの。

でもー!根性で起き上がって最後の雷蔵祭、2本観てきました。長かったようで短かった1ヶ月。あまりの眠気と疲れで、「早く終わらないかなー」って思ったこともありましたが、これで終わりかと思うと悲しいよぅ!

■『新撰組始末記』
NHK大河ドラマ新選組!』では、桂吉弥が演じていた山崎丞を、この映画では雷蔵が演じています。新選組好きには神様のような存在の作家、子母沢寛の「新選組始末記」が原作です。

大河では、最初から副長の覚えもめでたく、仲良さげに監察方を務めていた山崎ですが、本編では、副長と仲違いをするような形で描かれています。山崎は近藤勇という人物に惚れ込んで新選組に入隊するのですが、その内情を知って武士として新選組に関わることを是として良いものかどうか苦悩します。主に芹沢鴨の暗殺から池田屋事件までを追った作品ですが、三谷幸喜の描いた新選組と比較すると、空気の重さだとか血生臭さであるとか、そういったものが格段に違います。

芹沢鴨を暗殺した副長が許せない山崎。融通の利かない正義漢である山崎が正直うっとうしい土方歳三。あくまで山崎を信じる近藤勇。この作品では、池田屋に近藤を含む6人、四国屋に土方を含む残りの20人が別れた理由が「山崎のもたらした情報を信じるか、古高俊太郎を拷問して得た情報を信じるか」になっています。近藤は山崎を信じ、土方は古高を。結果として山崎の情報が正しかったわけで、池田屋の一件が終わるに至って初めて山崎と土方が和解する…というお話でした。

雷蔵様は苦悩する青年を演じたらそりゃもー素敵なのですが、山崎という目立たない存在の役柄を「主演」の二文字の下に演じ、地味な役回りながら実に輝いていました。やっぱりスターは風格が違うのだ!主演とはいえ、多分近藤勇の出番の方が断然多い作品です(笑)

ところで、山崎と恋人の志満が久しぶりに出会い茶屋で逢瀬する場面。刺客に狙われたところを山崎が斬って捨てるのですが、死体がある部屋で、そのまま志満を押し倒すというのはどうかと思いました。(←素直な疑問。)実際に新選組がどれほど京の街で恐れられていたか、NHKの大河では味わえなかった怖さを実感した映画でした。面白かった!(ランダム予告編:『弁天小僧』やっぱ好きだー!弁天♪かわいいんだもん。)

■『新・平家物語』デジタルリマスター版
平清盛は、実は白川上皇の胤でしたー!っていうお話。清盛が雷蔵様なのですが、武家社会になる前の武士っていうのは位が低かったんですねぇー。当たり前のことなんだけど、なんか目からウロコ。だって、雷蔵様の役柄って圧倒的に武士が多くて、農民が「おさむらいさまー!」って敬う人なわけですよ。もしくは『新源氏物語』のようなやんごとない公達だったりなんかして『光さまー!」って呼ばれたり、『ぼんち』のように「きくぼん!」って呼ばれたりしてですね、ええ、お育ちのいい役が多いものだから、本作品はある意味変り種と言って差し支えないかと。

しかも、この平家物語は清盛が何故お公家打倒に立ち上がったか、というところまでを描いた青春物語。普通『平家物語』って、祇園精舎の鐘の音…っていうイメージがあるのに、これは平家がまだ天下を盗るとかそういうレベルにもなっていないです。だから、公家には「卑しい武士の分際で!」とか「武士のくせに!」って言われちゃう。武士が卑しい身分だった時代があったんだ!?しかも雷蔵様が(っていうか清盛が)鍬で畑を耕してますよ!?ええー!!?武士なのに?ひたすら目ウロコ。

雷蔵様の出世作と言われるだけあり、雷蔵様がすごい若い。マユゲがすごいことになっていますが。若いだけに若者だけが持っている行き場のない憤りというものがヒシヒシと伝わってくるですよ。自分にもああいう血気さかんな時期があったなーって思ったです。

とにかくマユゲがすごいため(ゲジマユ)、耽美な雷蔵様ファンのおばさまがたにはエライ不評な本作品ですが、私はすっごい気に入りました。多分ビジュアルだけで雷蔵ファン、っていう人には向かない作品。でもね、ゲジマユがね、男らしくてかっこいかったんだよ!歴史物語として得るものも多かったし、また衣装の豪華さや当時を再現したセットの賑やかさとか、いろいろな面で楽しめました。さすがデジタルリマスター版だけあって映像がむっちゃキレイだったです。もーいっかい観たい!(ランダム予告編:『月形半平太』)

計26本。最初、10本見ればいい方だよな〜なんて思っていたのに26本。我ながらあきれ果てています。途中、体調も崩したしっていうか今もそんなに良くないけど、幸せ!満足!今回のイベントを通して感じたのは、雷蔵伝説は今後も続いていくんだなあということと。37歳の若さで亡くなったことは実に惜しい。もっとたくさん作品を作って欲しかった。でも、今日、開場待ちしていた時に後ろに並んでた老夫婦のおじいちゃまがこう言ったですよ。「雷蔵は若くして亡くなったけどさあ、だから伝説のスターなんだよ。大映もなくなっちゃったし、それも雷蔵伝説に拍車をかけてるよなあ」って。うん、アタシもそう思う。何本観た、と聞かれたので、26本観ましたと言ったら、「お嬢は仕事してないのか」と言われました。「いや、仕事はしてますけど、休んだ日もあったし」って言ったら「お嬢みたいなのが会社にいたら、会社がつぶれちまうわなあー」って笑われました(笑)心配するのも当然だと思うけど、ウチの会社はまず潰れないと思うよ!(笑)開場直前、そのおじいちゃまが言いました。「オレは雷蔵が大好きだから、ビデオをいっぱい持ってるよ。トシ取ると忘れちまうから、よく繰り返して観てるんだよ。ウチの家内がよく飽きないわね、っていうけど、ちっとも飽きないよ」って。ああ、雷蔵ファンっていいなあ…って思いました。おじーちゃん、元気でいつまでも雷蔵ビデオ楽しんでちょうだいね。それから、お嬢って呼んでくれてありがとう(笑)ちょっと若返った気分になったよーん。

というわけで、雷蔵祭、終了です。(実際は明日までの興行です。)角川の企画に感謝!シネスイッチ銀座に感謝!がんばった自分に拍手!そして市川雷蔵に心から盛大な拍手を。