あたしの〜なまえをちゃんと呼んで〜

いつもこの前で並んでます。

本日も市川雷蔵祭で銀座へ。本日のお写真は「開場までここでお待ちください」看板。毎回、こーやってこれの前で並ぶわけです。

■『ぼんち』
わあ〜、ハタチ過ぎても自分でお着替えしないんだぁ、さすがぼんち。って、それエッチューですからー!エッチューまで女中が締めるんだ!?そんな「ぼんぼん」のことを「ぼんち」と言うのだそうです。

雷蔵様がこの映画でヨメをもらうのですが、そのヨメの名前がアタシの名前でね。ウフ。エヘ。ああ、雷蔵様の私の名前を呼ぶ?声のすてきなことよ♪その昔、『愛していると言ってくれ』で、常盤貴子の演じた女の子も同じ名前だったんですが、トヨエツがその名前を絶叫したという理由だけで姉から「むかつく!」と言われたことが懐かしく思い出されます。(そのためだけに、わざわざ国際電話がかかってきた。)

『ぼんち』は大阪の足袋問屋のぼんぼん、喜久ぼん(←バカボンとかサザエボンに非ズ)こと喜久治の華麗なる女遍歴の物語。放蕩三昧が過ぎるから結婚せぇ、と言われ、親にあてがわれた嫁を大切にするも、祖母と母にいびられて嫁と離縁させられてしまう。女の修羅場はもうこりごりだと、玄人女で遊びたい放題遊ぶ喜久治。子供ができても金でカタをつけてしまうのだけれど、まるで悪びれない。相手の女もケロリとしたもの。「これから妾の子やいわれ続けるのんが不憫や、せめていい名前をつけてやって」と妾のぽん太に涙ながらに頼まれたのに、喜久治は「おまえの名がぽん太やから、太をとって太郎でええやん」って(爆笑)。ぽん太は「いやや、そんな安直な名前〜!」って泣くんだけど、喜久治は「ええ名前やん!」って。妾腹とはいえ次男なのに太郎!まあ、そういう悪びれない人なんだわ、喜久ぼんという人は。本物のお坊ちゃんとかお嬢さんというのは、ああいうふうに天真爛漫なんだろうなあ。ぽん太役の若尾文子がとても可愛らしい。ほんとに綺麗だ、彼女。ちなみに、喜久治の嫁は中村玉緒でした。いびられていびられて、うぁー!!!と泣く姿は一見の価値あり。(ランダム予告編:『蛇姫様』)

■『眠狂四郎 女妖剣』
暖房がね…。ものすごく効いててね…。寝不足っていうのもたたってね…。眠くて眠くていろんな場面が記憶の中から飛んでるんだよね…。隣のおじさんもいびきかいて寝てたもんね。あの寝息に眠気を誘われたんだろうか。

この作品あたりから、ちゃき、と刀身を返してぐるーり回す円月殺法に特殊効果が使われ始めました。刀身を回す時、その残像がトレースとなって画面に現れるですね。私はこの残像に反対派なのですが(ちゃちく見える)当時の、「最先端の特殊効果技術をふんだんに映画に取り入れよう!」という時代の動きがしのばれます。これ以降、シリーズを通して残像が…。この作品は、眠狂四郎の出生の秘密がわかる!というものでした。「転びバテレン」ってものすごい言葉ですね…。50人以上の立ち見客が出てました。(ランダム予告編:『妖僧』)

■『破戒』
島崎藤村の有名すぎる名作、『破戒』。泣いた〜!!!!ううう、弱いのよアタシこういうの…。小学校6年生の時に読んだ原作があまりに衝撃的で、今でも自分の中で内容を忘れられない本の中にランクインしています。今でも解決されていない問題なだけに、いろいろ考えさせられるところのある映画でした。

内容は小説のまま。若かりしころの三国連太郎岸田今日子長門裕之藤村志保が拝めます。小説そのものの文章が格調高いものなので、セリフはそのまま「君、XXしたまえよ」とか「ああ、それはXXだというんだね?」といった感じ。部落民であることを隠し続ける丑松〔←雷蔵様〕の、常に緊張した生活に、こうした固い言葉遣いが絡まって、薄氷1枚の上を歩いているような恐怖感をかもし出していた。

最後、部落民であることを告白した丑松は依願退職をして東京に向かうんですが、見送りに来た生徒のひとりが新聞紙に包んだゆでたまごを差し出すんですよ。「先生、たまご。おっかさんが、うでたから、汽車の中で食べてください、って」って小包を差し出すんですよ!!(号泣)ここから先はもう涙で画面が曇って曇って、うううう(泣)これ、DVD買おう…。雷蔵様の感情を押し殺した冒頭の演技もスバラシイのですが、自らの出生を告白する時の、魂から言葉がほとばしるような演技は圧巻です。

モノクロ映画の巨匠、市川昆監督作品。モノクロなだけに、長い影に見られる雪国の冬の寒さ、丑松の心の孤独さ、人生の影や悲哀というものが白と黒のコントラストに表現されていて秀逸なのでした。改めて市川昆のすごさを感じた作品でもありました。(ランダム予告編:『ジャン有馬の襲撃』)

明日も3本行くよ!『新源氏物語』『好色一代男』『沓掛時次郎』我ながらスゴイことになってきたと思っています…。


■本日のおめでとうございます
筧利夫さん、ご結婚おめでとうございます。姉からそっこーメールが入ってきました。「筧が結婚だってー!やだー!すごいショックー!筧に結婚なんて似合わないよ!」だそうです。お姉ちゃん。アンタ自分が結婚している身で何を言っているのか。