市川雷蔵、最強行軍スケジュール。

オールナイト明けの銀座4丁目交差点。

■『新撰組!』最終回!
「終わっちゃった」と自分で呟いた言葉に気づいて号泣してしまった。涙ふきすぎて目のキワが痛い。本当に終わっちゃったんだ。社会人になって、初めて大河ドラマを通年で見ました。毎週毎週、この時間が楽しみで仕方がなかった。いくら三谷幸喜のファンだからって、つまらなかったら1年を通じて見ることはできなかったと思う。エンディングに際して、ああ、あの歌詞が、そういう意味だったんだと(泣)新撰組としての歌でもあったけど、あれはいさみんからトシへの気持ちだったんだあー!(泣)

香取慎吾をはじめ、山本耕史オダギリジョーらのキャスティングの妙はもちろんのこと、阿南健二や小日向文世など三谷幸喜作品でおなじみの舞台俳優の多数登用はNHKならではの力技だった。そして古田新太野田秀樹ら、舞台作家としての三谷幸喜には盟友ともいうべき他劇団の重鎮を招いた点についても評価されるべきと思う。本当に素敵な大河ドラマだった。三谷さん、お疲れさまでした。そしてありがとう。今から水分補給しながら『新撰組!』のまとめを。補給しても、そのままだだ洩れしていますが。今日は疲れたからギャグの部分だけ。明日はもうちょっと落ち着いてから真面目な部分を。でもね、ギャグはギャグでも、いちいち哀しいのよぅ…。

  • ハジメ「受け取れません」容保様「虎鉄じゃ」ハジメ「虎鉄…!」そろ〜、と両手を差し出すワンコ斉藤ハジメオダギリジョー。もらっちゃうんだ!?容保公、ワンコがお手をしております!ワンコになんなりと用事を申し付けてやってください!
  • 「前歯のデカイ女は情が深ぇんだ。そういうとこ見とけ」うわ〜!「見とけ」なんだ!?最後の最後までトシって男は。お琴のことで懲りたかと思ったけど全然懲りてないんじゃ。でも、これって実はもっと深いセリフだと思うので明日以降に持ち越し。
  • 「本当だぁ〜前歯がかわいい…♪もっかい見して!イーッてやって!」ラッブラブじゃん。総司とお考♪若い人はいいね、っていう甚五郎さんの表情がなんとも。まさか直後にあんなことになるとは。
  • 桂先生、その無理矢理きわまりないインテリアは…。
  • 「全然わかってない!」バシッ!と捨助の頭を近藤ふで@野際陽子が平手打ち。いい音(笑)
  • やると思ったー!いさみんの拳芸。笑えるんだけど哀しい場面。一粒種のたまに一目会いたかっただろうにね。
  • 甲陽鎮部隊。「ありゃ名前が良くなかったな」と、トシ。あたしもそう思う。
  • 「………はっくしっ!!」
  • 最後に、本日最大のギャグっていうか問題点について述べたいと思います。「あれは断じてはしのえみの胸ではない」もし、万が一、あれがはしのえみ本人のものであったらかなりショックだ。

    終わり。(ええっ、ここで!?)

    ===さてさてさて===

    今年の、最強行軍的週末のカタがつきました。9月、ミヤマのライブに全部行ったときも自分で「ぜったいおかしい」と思っていましたが、今回はそれをはるかに凌いでます。忘れないうちに愚行録を記しておこうかなあ、と。

    ■『大菩薩峠
    鬼平こと長谷川平蔵はワルだと思っていました。眠狂四郎もそーとー悪いと思っていました。でも、机龍之介には勝てまてん!龍之介、最狂かつ最強。「飲む打つ買う」でならした鬼平様も、「女は犯すものだと心得ている」眠狂四郎には勝てず、その眠狂四郎も、「斬りたいから斬る」龍之介には勝てない。龍之介、辻斬りはするわ、他人の女房は手篭めにするわ、その女と出奔するわ、女の良人は殺すわ、ガキは産ませっ放しで一度も抱かないわ、働かないわ、寝盗った女房は殺すわ、もう手がつけられません。

    眠狂四郎は性格が曲がるまでにちゃんとした経緯があるのに、机龍之介にはそれがない。彼は本当に「犯したいから犯す」「斬りたいから斬る」。それだけ。それだけだから始末が悪い。机龍之介新撰組に入り、殺した女房の良人の弟、兵馬から仇討ちをかけられる。女房の亡霊に怯え、狂気に陥りながらもだらり右手の剣は離さない。まて、次回!っていうところで次回作へ。(ランダム予告編:『忠臣蔵』←えっ、こんなシーンないよ!?っていう映像が満載の予告編だった。)

    ■『大菩薩峠竜神の巻』
    濃い霧の中では兵馬の仇討ちも果たされず、龍之介は兵馬だけでなく新撰組からも追われる身に。流れ流れるうちに天誅組に入る。節操がないっていうか、そういう観念は彼にはないので。殺したはずの女房と瓜二つの女が現れ、龍之介おおいにビビる。でもどうやら女は別の男と心中するらしく、「死にたい奴は死ねばいい」と放っておく。兵馬による仇討ち再び。が、天誅組を追う別の追っ手が天誅組の隠れ家を爆破。龍之介、爆発による怪我で失明。森の中にさまよい出て追っ手を逃れる。殺したはずの女房と瓜二つの女は心中したものの死に切れず、むりやり女房にされた男の内儀にさせられていた。龍之介が宿場に現れると同時に、天に凶事が現れ、その穢れを落とすために女は滝で禊をする。そこで、目の見えない龍之介に再会、もとより慕情を募らせていた相手なので、彼の手を引いて逃げ出す。と、そこに兵馬が現れ、またもや「仇討ちー!」となる。「盲ても剣の筋は見える」龍之介、もはや後退する猶予ナシ!待て、次回!(ランダム予告編:『日蓮と蒙古大襲来』)


    ■『大菩薩峠・完結編』
    龍之介、女に助けられて港町へ流れる。女は女郎となって龍之介の目の治療代を稼ごうとするものの、自分が労咳になっちゃって死んでしまう。と、龍之介、今度は別の女に助けられ、その女と子としばらくの時を過ごす。自分にもこれくらいになる子供がいる、と話し、うわごとのように息子のことを気にかけ始める。息子を自分の手で抱いたこともないくせに、他人の子供に添い寝をしてみたり、一緒にお風呂にはいってみたり、わけわかんない龍之介。その女との旅の途中、頼みごとが仇となって再び追われ、囚われの身に。囚われた先で人斬り商売をするうち、またもや殺した女房にそっくりな女が現れる。龍之介、大混乱。目が見えなくなって心の闇がいっそう深くなったと自壊。女房の亡霊、今まで殺めてきた無数の罪なき人々の亡霊(っていうか妄想)が龍之介を襲う。たどりついた宿場町で、兵馬と最後の勝負。が、突然の暴風雨により中断せざるを得ず。兵馬、僧の教えにより龍之介を追うことをやめる。龍之介の逗留していた邸が洪水で流されていく。目の見えないまま、雨風にさらされながら、龍之介、天に向って息子の名前を絶叫。完。
    (ランダム予告編:『雪之丞変化』)

    いやー、もー最高!目がハートですよ、ネオンピンクのハァト。大菩薩峠、すっごい楽しかった。あっというまのオールナイト。それにしても机龍之介っちゅうのはワル。日本映画史上最強のワル!それなのに、どんな境遇にあっても女が助けてくれるモテモテ君なのだった。元・敵の男でさえ「そちの太刀筋、気に入った」とおもてなしをしてくれたりする。男にもモテモテ君なのだ。最初に述べたように、まずこの男、非道の限りを尽くしている。いわば外道。なのに、なぜ劇中の女が、劇場でこの映画を見ている客が、龍之介を憎むことができないか。それは、龍之介が「水もしたたるいい男」だからです。それだけです。彼の気が触れても、むしろ「私があなた様を助けてさしあげます!」ってなっちゃう。また、彼がおかしくなればなるほど、ぞぞーっとする色気がわきあがってくるのがこれまた不思議だ。馬手に血刀をひっさげて、あっちにフラフラこっちにフラフラしながらも、剣客に襲われればたちまち太刀筋は冴え、バッタバッタと斬り倒し…っていうこの間がたまんないです。ヨダレがじるー、ってかんじ??ウフ。

    これ、映画を知らなくても、一目見ただけでもわかると思うんだけど、龍之介の雷蔵様は、寒気がするような美しさなのです。重心の据わった歩き方。立てば背中から足にかけてのラインがむちゃくちゃ綺麗だし、座れば背筋は真っ直ぐ、無理はなく、居住まい正しくとにかく不動。そして酒を呑む。呑む。呑む。とにかく呑む!とにかく座っていれば呑む。この呑み方がまた激シブい。杯の持ち方一つにも色気と品がある。これねー、アタシ初見だったんですが、DVDじゃなくてスクリーンで見れたこと、本当にラッキーだと思った。雷蔵様目当てで見るのもいいんだけど、刀の刃にライトを当てて、その照り返しで役者の顔を照らしたり、一体どこでどうやって撮影したんだ?っていうセット、ロケも見る価値高いと思う。2作品目までは三隅研次監督の芸術的作品を味わえる。これ、映画を超えて芸術作品だと思う。本気で。完結編は、出演者の演技は無問題、でも映像がすごいショボい。結論⇒市川雷蔵作品を見るなら、まず手始めに『大菩薩峠』シリーズをどうぞ!!中村玉緒が演じる龍之介の妻、とその妻に似た女たち。死んでも死んでも死んでも死んでも懲りずに出てきます(笑)ああ、そうだ。雷蔵様は線が細いようで全然細くないところもなにげに好きです。あとアゴが頬骨に対してギュウ、と引っ込んでるところとか。大首絵の歌舞伎役者の顔のラインと同じで。

    ■『浮かれ三度笠』
    大菩薩峠』で夜を明かし、マン喫で仮眠。再び映画館へ。この作品はロマンチックコメディー。あまり物事考えずに楽しめる。基本は勧善懲悪。雷蔵様のフットワークが軽く、太腿丸出しで走り回る姿がかわいい。キャストは大菩薩峠とほぼ同じ。中村玉緒市川雷蔵カップリング。玉緒さんがすーーーーーーごいかわいい!これがあの「グェヘヘヘ」とか笑う、あの玉緒さんなのか!?大ショック(笑)最後は雷蔵様による「さあ、ぼくの胸にとびこんでおいで!」があり、玉緒さんがそこに可憐に飛び込む、と。すごいかわいかったー♪大菩薩峠が全体的に暗い映画なので、和みました。(ランダム予告編:『破戒』←長門裕之が若くて桑田圭佑みたいだ。)

    ■『切られ与三郎』
    『弁天小僧』のスタッフが再び終結ということで、パターンとしても似ているし、劇中劇もあって楽しめる。がっ!ベースは歌舞伎ので、ストーリー的にはベタな悲恋モノ。女にしくじると痛い目を見る、ということを身を持って教えてくれます(笑)だけど、これ、女の目から見ても女性不信になりそうな映画で、出てくる女出てくる女、全部自分の都合だけで生きてる。与三郎も与三郎。一度痛い目にあって34箇所の切り傷持ちになった+凶状持ちにも関わらず、同じ女で失敗。どうしてそこで騙されるんだ!!で、最後は「探し物は身近にありました」っていうオチで、「お兄さま、妹がお兄さまを好きになってはいけませんかー!」っていう、禁断の兄妹悲恋に突入。添えないなら幸せになれない、と妹は咽喉を掻っ切って死ぬ。与三郎、「御用」の高張提灯がわらわらと集まってくる中、妹の亡骸を抱きしめて「俺にはおめぇひとりだ」と大川(隅田川)に入水。ベタなんだけどね、しみるんだよね。ここが時代劇のすごいところだね!(ランダム予告編:『新源氏物語』←烏帽子に水干姿がたまんない。)

    本当は『切られ与三郎』の次に『大菩薩峠』だったんだけど、もう一回観たかったんだけど、もう体力的に無理!っていうので帰ってきました。そして今に至る、と。金曜日の夜から、夜なんだか朝なんだか昼なんだかわけわからなくなってて、体内リズムがおかしい。がんばった。(っていうかアホだった。)雷蔵様が全編、っていうのは当たり前なんですが、全部の映画でヒロインが中村玉緒だったということも添えておきます。いろんな玉緒さんが出てきて楽しかった。

    雷蔵祭、残すところあと一週間ちょっと。がんばるぞー…。おーう…。もう、ほぼ確実に20本観るっぽいです。