Weenだ、Ween。

「Ween」とゆーバンドをご存知でしょうか。アメリカ合衆国フィラデルフィア出身のDean WeenとJean Weenの二人(兄弟じゃないけど幼なじみ)のデュオです。私はホワイト・トラッシュ・ストーナー・ミュージックと勝手に名付けています。例えるなら「ハッパでストーン状態」的音楽で、もちろんWeenのお二人もハッパが大好物なわけです。

ハッパは比較的手に入れやすい+リラックスできる+廉価であるため、学生に好まれるのですね。私の通っていた大学は70年代のまま時を止めたような学校だったので、ハッパをはじめ、いろんなものが平気な顔をして流通してたですね。で。当時の私のルームメイトがやっぱりストーナーだったのですが、そいつが良く聴いていたのが「Pure Guava」というWeenのインディーズ時代最後のアルバムだったわけです。

メジャーに移籍してからWeenの音楽性はますます研ぎ澄まされたストーナー・ミュージック(笑)へと進化していったのですが、私はこの「Pure Guava」が一番スキ。なんつったって、Weenの二人自らが「究極のマッシュルームソング」と大絶賛しているほど壊れた「Little Birdy」という曲から始まり、大絶叫で終わる「Poopship Destroyer」(←辞書で意味を調べてみよう!)まで、Jeanの歌声には全て修正(ニュースの『音声を変えています』ってやつと同じ)がかかっています。実はPure Guavaにいたるまで、Jeanの本当の声というのはライブでしか聴けなかったですよ。しかもギターにはディストーションかかりまくり、チューニングは何音下げて弾いてんだ?という音が次から次へとLava Lightのごとく分裂してはひとつになり、ひとつになっては浮かんで沈み、また分裂したりひとつになったりしながら流れこんで来るというしつこさ!

壊れ具合としては「Little Birdy」が最高なのですが、「Push Th' Little Daisy」という曲がこれまたいい具合に壊れてます。いやもー、最高。アタシこーゆーの大好き!Weenは壊れパンクだと思います。ただ「壊れパンク」というジャンルがないからオルタナティブのあたりに陳列されてることが多いですが。

で。なんと、WeenがSt. Louisに来ることになったのを知った私とルームメイトとそいつの従兄弟の3人は、車で片道2時間もかけてMississippi Nightsとゆーハコまで行ったですね。しかし。あの音をライブでどうやって再現すんだ?と思っていたら、あーら、不思議っていうか、全然フツーに演奏して歌ってたりして。音に関して一切の加工やモザイクなし。それなのに全く違和感ナシ。3人仲良く圧倒されて帰ってきました(笑)Jack Danielsの酒瓶を片手にしたJeanは歌がむちゃくちゃ上手い。ウイスキーの酒瓶はライブが終わるまでに軽ーくで1本空いちゃう。タバコをギターの弦にはさんで演奏しているDeanのギターも冴えまくり。時々タバコを吸いながら灰を落としていたら次のフレーズの出だしに間に合わなくなったりするアホな場面もあるけど、それもご愛嬌。しかし、二人ともステージに上がる前から泥酔してるのは明らか+ハッパでええ具合に出来上がってる状態。この人たちは酒とハッパを摂取するとボルテージが上がる珍しいタイプです。普通ハッパはおとなしくなるんだけどね…。

その後、Weenのライブは3回ほど見ましたが、どれもファンにはたまんない内容で、しかも長い!LAのWilshireで見たワンマンの時にはボルテージ上がりすぎて3時間半もやってました。Santa Monica公会堂(笑)ではBeckのオープニングを務めたのですが、これも良かった。Beckしか興味ねーよ、という客からは「ひっこめー!」のブーイングの嵐でしたが。。(Beckはこの日、エルヴィスのジャンプスーツ姿でギターを弾きまくり、大絶叫した後に酸欠でぶっ倒れ、20分くらいライブが中断されたりして。)最後に見たのはTroubadourだったか。この時もワンマンだったけどこの日はたしか2時間半くらいで終わったハズ

あのね、駅前旅館さんにはひっじょおおおおおおーに申し訳ないのですが、音の感触が似てるんですよ、Weenに。(文谷さん本当にゴメンナサイ…。)ちくわ、ちくわ、ちくわホール!のノリに似てるんですよ。曲調が、ではなくて耳に飛び込んでくる音の感触が。というわけで、興味のある人はWeenを聴いてみよー!

ちなみにWeenのすばらしーファンサイトでは全歌詞とコード表、さらにはコードの押さえ方まで公開されてます。(オフィシャルサイトには「残念ながら間違いが多いんだけど」との断り書きあり・笑)こういうサイトの作りも大アリだよなあ、と感心させられたウェブサイトなので、こちらもご興味があればどうぞ。しかし、間違いだらけのコード進行表を堂々と載せてあるファンサイトをオフィシャルが取り上げて間違いも指摘しないという、そのユルさがまたWeenらしくていい。

■Ween Official:http://www.ween.com/chocodog/ween/
■Totally Ween Tabs: http://www.chocodog.com/chocodog/ween/ween_new/noflash_fr.html

Weenといえば笑える思い出が。私の学生時代のルームメイトというか彼氏というかなんだったんだあれは、というのは、実は友人の従兄弟だったのですが、私の引越しを手伝ってくれたのがきっかけで仲良くなり、その2ヵ月後に「俺、ここに住むから」と、いきなり私の許可も得ずに転がり込んできたですよ。部屋は広かったし、追い出す理由も見あたらなかったので、ズルズルと一緒に住んでたりして。NirvanaとかSonic Youthとか聴きながら夏の怪談百物語よろしく毛布1枚とロウソク1本で夜通し音楽談義とかしちゃったりとかして。ヤツはPearl Jamがスキでアタシはキライで、アタシはAlice in Chainsがスキでヤツはキライで。今考えればものすごくくだらないんだけど、音楽談義で意見が対立して泣いてケンカしたこともあった。でもすごく楽しかったなあ。場所こそ遠く離れてしまったけど(ヤツは結婚してトルコに移住してしまった)、なぜか今でもものすごく身近に感じる。あとは社会人になってからの出来事。Wilshireでのライブで声をかけてきた軽薄そーな男(全くの赤の他人)が後にオフィシャルな彼氏になってしまったりしたことでしょうか…。おそるべしWeenの縁結びパワー!!

というわけで。Weenです、Ween。入門編には「Chocolate and Cheese」、慣れたら「Pure Guava」に挑戦するのがよろしいかと。日本にもしばらく来てないからまた来てほしいなー。