1940年代上海ものはおもしろい。

■マンガ:「YELLOW」
■作家:かわぐちかいじ

かわぐちかいじの「YELLOW」読みました。って、もうとっくに読み終わってたんですけど、感想を書いてないの思い出したから。

時代は上海1940年初頭。おお、私のスキな戦時代ものですな!原作がちゃんとあるせいか、いつものような大風呂敷を広げて収集のつかないラストを迎えがちなかわぐち作品とは少し趣が違っている。(要するに珍しくうまいぐあいにラストがまとまった。)

ネタばれになっちゃうので内容は控えるけど、森川久美の大名作「蘇州夜曲」「南京路に花吹雪」「Shanghai 1945」に通じるものがあるかな、と。中国の大地に憧れ、教育を受け、中国人とともに歩んでいこうとした人々が、戦争によって次々と犠牲になっていく。少しずつ築いてきた中国人との信頼関係を一瞬のうちに失う。そういった葛藤が描かれていて興味深い。子供がテロの手伝いをさせられる(饅頭の中に爆弾がしかけられてるとか)などの手口は今でも健在。時代が変わっても子供が戦争の道具に使われたり犠牲になるのはカワイソウだな。子供の頃、日本人に撃たれて死んだと思っていた女の子が後に中国マフィアの大姐として君臨して戦後日本に乗り込んでくるあたりはスリルがあって良かった。

個人的には両国間の人間の心情をより深くわかりやすく描いたのは森川久美かなと思う。彼女は大のイタリア好きでもあるので、イタリアのルネッサンス期のシリーズも超おもしろい。

「YELLOW」面白かったですが、同じ時代でも男性の作家と女性の作家が描くと、こうも違うものかなあというのが印象的でした。(題材も違うけど。)

どっちかっつーと森川久美がおすすめです。かわぐちかいじはやっぱり「沈黙の艦隊」に限るな。

アタシは従兄弟や近所のお兄ちゃんお姉ちゃんの中で、一人だけ「ぽつん」とできちゃった子なので、私の年代の人なら普通は読んでないマンガとか見てないアニメとか一緒に見て育っちゃったですよ。なので、この年なのに「マカロニほうれん荘」がさ〜、とか「エースをねらえ!は宗像仁の死んだ後がいいんだよね!」とかゆっちゃうんですね…。いまだに「藤堂さん」という名前にときめくヴァカはこの私です。

そんなわけで好きなマンガ家も同年代の子とはちょい嗜好が違うみたい。女性作家なら山岸涼子かわみなみ多田かおる川原泉手塚治虫は高校時代に超はまったし、宇宙戦艦ヤマトガンダム(ファースト世代)ならヲタク並みに詳しいし。そういえば仮面ライダーはアマゾンが好きだったような気がするけどよく覚えてない。ウルトラマンならタロウかな。

ちなみに我が家のニャンコは「たろうちゃん」という名前の女子です。ウルトラマンとは関係ないけど。