COCKC’NELL

■場所:吉祥寺Star Pine's Cafe
■出演:コクシネル(野方攝 [vo, g], 池田洋一郎 [g, laptop], 石渡明廣 [g, drs], 早川岳晴 [b], 中山努 [key], 宍戸幸司 [g], 近藤達郎 [key], 他 VJ:アズビー・ブラウン)



先日いぬん堂氏にお会いした時、「コクシネルいいよ。行った方がいいよ」と言われ、音源も聴いた事がなかったくせに、社長が大絶賛するんだもんなー、行ってみようかなーと、ものすごい軽い気持ちで行ってしまいました。会場が近所にあるというのも理由のひとつだったんですが。

会場に着いたら、既に満席。N氏とN氏(笑)が席を取っておいてくれたので(ありがとうございました!)、真ん中あたりに座れました。が。前の席に座っていた人物の頭がパパイヤ鈴木のようにでかく、ヴォーカルの野方さんの清廉なお姿がよく見えな…いような、おっ、見えた!みたいな状態でした。20年来活動してきて、ワンマンライブは今日が初めてだというではありませんか。まじですか。存じませんでした…。

私、まるでコクシネルのことを知らなかったんですが、一曲目から圧倒されました。ガツン、と。これは一体なんだ、と。ショックというかなんというか、ジャックスのCDを初めて聴いた時と同じような寒気のような感じがしました。

初見、初聴ということもあり、まるで先入観ナシに見られたということも幸せだったかもしれませんが、なによりもコクシネルというバンドは一般に入手することができるのはCDが2枚現存するだけで、ライブは1年に1回しかやらないらしいですね。おまけに昨夜の編成で演奏したのは実に十数年ぶりのことだったらしいです。すご!

ライブは2部編成で、一部では「割礼」(ってバンド)からゲストを二人迎えての、へヴィー目の曲が連続で。2部ではバックスクリーンに映し出される万華鏡のような画像を目にしながら、まるで別世界にいざなわれて行くかのように現実世界から離脱体験をしたような、そんな気持ちに。とにかく、なんだか「ふるえ」が来るようなステージでした。叫ぶわけじゃない、呟くわけじゃない、ただ、訥々と歌いつづける野方さんに釘付けでした。(前方に座るパパイヤの頭越しに。)野方さんを囲むミュージシャンの方々の存在感もひとりひとり全く違った雰囲気を持っているのに、演奏が始まると野方さんの声にひきつけられているのか、もう、ここにしかない、ここでしか体験できない、みたいな一体感に包まれて、更に観客をも惹きつけていくという感じで、そりゃもう……。

アンコールを求める拍手が鳴り止まず、「もう曲がないんで…」と苦笑しながら野方さんが弾き語りをしてくれました。彼女の歌い手としての魅力を余すところなく、また過剰に演出するでもなく、やっぱり最後まで訥々と歌いきった野方さん。


私、とんでもないものを見てしまった。


それがコクシネル初体験の感想。きっと観客のほとんどはすごいファンの方ばかりなのだろうと思うので、あんまり「いやー、実は初めて聴くんですよコクシネル」とか言ったら殺されそう…というのはウソで、みんな40代前後の落ち着いた層の方が、実に楽しそうにライブを楽しんでいる様子も印象的でした。

いぬん堂氏の話では、また今度いつこんな豪華な編成で見られるのかわかんないそうなので、ほんとに貴重な体験をしたなあって思ってます。ハコから家まで歩いた数分間、よく車に轢かれずに帰れたなあと。実は家に帰るまでの間、ほんとに「ぼっけ〜」としていて危なかったです。急に現実の世界に無理矢理ひっぱられたような気がしていたので。

というわけで、コクシネル。
私はなんと「とんでもないもの」を見てしまったのか。

今日になってもまだ「ぼっけ〜」としておりますが、一応社会人なもので…っていうか、あと20分くらいしたら営業に出かけねばならないのであまり「ぼっけ〜」とせずに歩こうと思います。昨日買ったコクシネルのCD、今朝の通勤電車の中で聴いてきました。20年前の音源なのに、やっぱすごい。「壁」が好きだなあ。昨夜も一番気に入ったのがこの曲だったっけ。昨夜のライブはピアノがものすごく良かったんだよなあ。

今日もいぬん堂社長に乾杯。コクシネルのライブに誘ってくれてありがとう!ホント感謝です。コクシネルは、ある意味「モンスターバンド」と言えるのかもしれない。んー…。はまった。