花形歌舞伎@新橋演舞場

popon-x2006-11-23

本日、お友だちと一緒に花形歌舞伎@新橋演舞場に行って来ました。市川海老蔵尾上菊之助尾上松緑ら若手が顔をそろえました。

・番町皿屋敷
主の播磨と恋仲の下女、お菊のダメ系ラブストーリー。播磨の縁談に心を乱したお菊が、彼の心を確かめるために家宝の皿を割ってしまう。「皿が大事が私が大事か」って、アンタ命がけだね!?播磨は「粗相ならしかたがない」と許してくれるんだけど、実はお菊「わざと割った」わけで。すると播磨は「酒場に行っても女に勺をさせないくらい俺はお前に首ったけなのに、潔白な男心を疑ったお前の心がどーしても許せない」と、残りの皿をいちまーい、にまーい、さんまーい、よんまーい、と割った後、お菊を手打ちに。

ひえー!皿が大事が私が大事かと、詰め寄ったお菊もアホウだけれど、殺してしまう播磨もアホウだな。まあ、あの時代、お殿様のお手つき下女が、捨てられたら生きていけないくらいの恥さらしだということ=残りの人生まっとうに生きていけないということだもんね。はっきりしてよ!って確かめたい気持ちはなんとなくわかる。

播磨役の松緑、軽い。すべる。セリフが聞きにくい。男心を疑われるのは心外だと切々と訴える場面、軽すぎて説得力ゼロ。お菊に扮した芝雀の良さを引き立ててしまったよう。

勧進帳
えびの人気、すごい。ですが。

7月に幸四郎染五郎で見た勧進帳が、いかにすばらしかったかということがよーーーーーーくわかった。最初から最後まで、海老蔵の顔芸が楽しめる。はっはっはっ。もう笑うしかないな、あの海老蔵の演技。セリフは聞き取りにくいし(もともと弁慶のセリフはわかりにくいのに…)、舞台なのに顔というか目とか歯で演技しようとするし。もういい。わかった。キミは助六とかイケメンでさえあればOKな役だけやっていてくれ!いや、えびぞう襲名公演のときの助六はすごく良かったんだ。

勧進帳の衣装、全員折り紙のやっこさんみたいでかわいい。とくに後姿のかわいさったら、たまらん。あ、ちなみに富樫は菊之助でした。

・弁天娘女男白浪
本日のメインイベント。本日ご一緒させていただいたお友達と知り合うきっかけとなった雷蔵祭のパンフレットに、菊之助が弁天小僧についてのコメントを寄せていたのですが、その菊之助本人が弁天を演るというので、これは見なくちゃねっ!!ということになり、本日の観劇となったわけです。

菊之助の弁天、か、かわいい…!キュート!直前の弁慶@えびぞうが世にも凄惨なことになっていたので、なんていうか心が癒されるというか。所作は実に美しいのに、けっこう骨太で素敵な弁天小僧でした。

「知らざあ言って」(一拍半空け)「聞かせやしょう」のセリフの合間に大向こうがかかったのですが、間が悪くて、菊之助がひきずられちゃったのが残念でした。

一拍半空けの部分で「音羽屋!」もしくは「待ってました!」「五代目!」のどれかがピタッと入れば「聞かせやしょう」がキレイに収まったはずなんだけど、五月雨式に続いたものだから、一拍半が二拍半くらいに間伸びしてしまって、「あ、あれ!?」みたいな。大向こうもへたくそな人がかけると役者に迷惑がかかるということですね。

ところで『天保12年のシェイクスピア』で、藤原竜也くん@きじるしの王子が、一瞬女形のようにフラーっと歩いて回る場面があったんですよ。あの場面の所作、菊之助に教えてもらったのだそうです。…とそんなことを思い出したりして。

今、雷蔵の『弁天小僧』をDVDで見ているんですけどね、うう、やっぱり、イイ…雷蔵最高。男であることを見破られて、くやしそうに「きぃーっ」と日本駄右衛門を見上げて、がっくりとうなだれる場面。女形としての美しさは、顔や所作を含めて菊之助のほうがだんぜんキレイなんだけど、なんだろう、この雷蔵の良さ。ちょっと言葉では言い表せない。単なる雷蔵ファンの贔屓目じゃん、と言われてしまえばそれまでなんだけど。

というわけで、たっぷり1日楽しんできました。お誘いいただいてよかったです。ほんーとおもしろかったです。いろんな意味で忘れられません。(特にえびぞうとかえびぞうとかえびぞうとか)。