マークスの山

マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)いつか読もうと思いつつ、なんーか手に取らずにいた作品なのですが、なぜか実家にあったので持ってきちゃった。ほぼ3日で読んだけど、遅すぎる…。最近理解力がないのか?読み進めるスピードが落ちてるような。まあ、でもわからないまま読み進めても意味ないから、時間がかかってもいいか。

最初、あまりに山の描写が細かくて、最初の10ページでくじけそうになったけど、読み進めてよかった。主人公の刑事、合田雄一郎。合田という姓、高校生の頃は「あいだ」って読むんだと思っていた。でも、その頃できた大阪の友達が「合田」で、「ごうだ」と読むということを初めて知ったのを思い出した。合田って大阪に多い姓なのかな?合田雄一郎も大阪出身。

ミステリなんだけど、人間ドラマとしての印象が強いです。それにしても「これって度を越えすぎた男の友情なんじゃね?」って思ったシーンも多々あり、ちょっと検索してみたら、案の定「合田と加納」の同人誌がどーんと出てきた。いや、アリだと思うよ!?大アリ!合田と加納もいいんだけどね、森も怪しいんだよね。なんだかんだ言って合田にくっついてる後輩。あああ、そうじゃなくて!人間ドラマのおはなし!

捜査に関わる外部の圧力と内部揉めの描写がとても緻密で、警察事情に全く疎い私でもこの作品を読んだだけで警察通になれそうな気がするくらいでした。縦割り組織の中でも警察って特殊な世界なんですねえ。大好きなドラマ『踊る大捜査線』がチャチに思えるくらいの濃密な描写にどっぷりはまり、急展開を経て、ラストへの疾走感が実に素晴らしい。合田の、居ても立ってもいられないもどかしさが、読み手に痛切に伝わってくる。文字を追う自分の目の遅さと理解の追いつかない頭にイライラするくらいのスピード感。

面白かったー。久しぶりに寝食を忘れて(忘れてないけどね)読みふける楽しさを味わいました。面白い小説を読むとき、あと何ページで読み終わってしまうというとき、「ああ、まだまだ読んでいたいのにー!」と思うことがあるのですが、この作品はまさにそういう作品でした。ページを繰るのがもどかしいほど、ラストはどうなるんだ!?っていう展開なのに。そういえば、高村薫は文庫は前面改稿するとかで、文庫版にはハードカバーに登場しない人とか、捜査網とか人間関係などに大幅な違いがあるのだとか。読まねばー!!!

今日は図書館で続編の『照柿』を借りて午後中読みふけってたら、夜になってました。合田が若返ってますよ…?同年代の人間は皆オッサンと化しているのに、合田だけ爽やかな色白で背筋の通ったすがすがしい中年ですよ?やばい。なんとなく高村薫の趣味が窺えるような気がする(笑)

明日から1週間、飲みの日々が始まります。今週いっぱいで今の職場とお別れなので、飛ぶ鳥跡を濁さずっていう言葉の通りにしようと。…でも今一番気になるのは職場のことより何より『照柿』の続き(笑)