東京国際映画祭4日目。

宝物その1『春の雪』初版

東京国際映画祭4日目です。


本日はオフ。でもダニエル・ウーの最新作『ディヴァージェンス』が観たかったので、チケットの引き換えにヒルズへ。でもその前にヨガ。というわけで、出勤してくる同僚の皆様方にスポットされつつ、渋谷から六本木に移動。う…!既に長蛇の列。やっぱりおとなしくネットでチケットを取っておくんだったと激しく後悔。予想通り予定枚数終了でチケットは入手できず。インターナショナル・プレミアだっただけに惜しいことをしました。悔しい!近日公開求む!


その『ディヴァージェンス』が観られなかったので、その場で見られる映画のチケットに引き換えてもらいました。雪村いづみと桂春團冶の『そうかもしれない』を観ました。これが、かなりの秀作…!老いていくことの悲しさ美しさと、年月を積み重ねて生きていくことの難しさを淡々と描いた作品です。雪村いづみがスッピンでアルツハイマー痴呆症と診断された妻を、桂春團冶が作家で妻の面倒を見る夫を、阿藤快がその甥、下條アトムが出版社の編集者を演じていたのですが、それぞれの立場に誰もが感情移入できるのではないかと思いました。


内容は老いに対する容赦ない内容で、あの雪村いづみがそそうをしてしまうシーンがあったり、徘徊したりするシーンが出てきます。先日、本物の雪村いづみを見て、なんて綺麗なんだろうと思っていたところにこの映画ですよ。正直ものすごいショックでした。そして改めて彼女の女優根性に脱帽する思いです。


私、母方の祖母がやっぱりアルツハイマーだったので、劇中で何度も祖母を思い出して泣きました。祖母はいわゆる「まだらぼけ」といわれる類のアルツハイマーだったのですが、急に偏執的になったり、急に無邪気になったり、なんかぼーっとしていると思えば突然シャキシャキ動き出したりしたのでした。この映画での雪村いづみがまさにそれ。急に正気に戻るんですよ。だから家族も家で面倒を見たらいいのか、ホームに入れたほうがいいのか踏ん切りがつかない。本人も自分が何かおかしいのがわかるのね、時々。そのあたりの葛藤も実にリアルでした。


映画の後半は、もうずっとみんな泣いてて、映画が終わっても、席を立たない人がほとんど。顔がすごくなっちゃってるのがわかってるから出るに出られないのよ!


さて、観る前からさんざんな酷評を下している映画版『春の雪』ですが、原作が飛ぶように売れている模様。持ってるけどハードカバーを持ち歩くのは嫌なので、っていうかアタシの三島初版本コレクションは宝物なので、持ち歩きはできません。書店で文庫本を買おうとしましたが、現代仮名遣いになっちゃってる…!!(泣)ダメだああああ!不可だ、不可!豊饒の海シリーズは旧仮名遣いが命なのにっっっ!(←個人的に。)現代仮名遣い+現代漢字ではあの大正浪漫な三島ワールドをフルに味わうことは不可能!持ち歩き用に旧仮名バージョンの『春の海』文庫本を出版していただきたいです。じゃないと、いつまで経っても自宅でしか読めない(泣)


ところで映画版、映画の内容はもちろん期待していないのですが、及川光博が出てるじゃないですか!(←ブッキーと竹内結子に気を取られて今日の今日まで気づかなかった。)しかも宮様!いやん、似合うー♪♪ミッチーのために観たいぞ!っていうかあの小説世界をビジュアル化したものと、自分の妄想している『春の雪』世界との違いを比べてみたいです。特にコスチュームに興味あり。トレイラーでブッキーが着てたコートかわいかったし。(コートかよ!?)


私がもし『春の雪』を映画化するならこういう(ありえない)キャスティングです。

  • 清顕⇒27歳ごろ限定の市川雷蔵。生前、実際に『春の雪』と『奔馬』を雷蔵で映画化するという話があって、闘病生活の励みにしていたそうですよ。なんて惜しいことを…!!
  • 聡子⇒超若い頃の高峰秀子。いつもどおり、舌足らずのモタモタした喋りでよろしくお願いします。デコちゃんの、自覚のない色気で周囲を惑わす感じがぴったりだと思います。原節子だと清楚すぎちゃう。
  • 本多⇒佐田啓二。ちょっと性的に倒錯気味な、清様の相手親友役はやっぱビジュアル的にヤバイくらい美しくないと。ちょっと外して古尾谷雅人もいいかもしれない。美しい…くはないけど、倒錯の一歩手前あたりの危なさは似合いそう。
  • 宮様⇒そのまま及川ミッチーで!!やっぱり『春の雪』の中に出てくる宮様はお人形さんのようであってほしいのです。


明日のシフトは…ちとハードだな。いよいよ映画際も明日で折り返し地点です。